ステンドグラスの価格はどうやって決まるのか

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一般の方には分かり辛い、ステンドグラスというものの価格。


それを少し紐解いてみる。


なお、今回は、建物などに入れるパネル型のステンドグラスの話をする。ステンドグラスで出来た小物やランプシェードなどは、とりあえず対象外である。



一般的な価格

日本で特注(フルオーダー)のステンドグラスを購入する場合の一般的な価格は、おおよそ、


25~35万円/1平米・100ピース


程度のようである。これは、ネットでいくつかのステンドグラス制作工房をチェックすれば、容易にわかる。


1平米・100ピースと言われても、どの程度のものかイメージし辛いかと思う。以下のステンドグラスの左側一枚が、おおよそ1平米弱・200ピースのステンドグラスである。

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このステンドグラスは100年以上前に作られたものだが、もし今同じようなものを作ろうとした場合、1枚で50万円程度だろうか。



ステンドグラス価格の内訳

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では、その価格の源泉はどうなっているのだろうか。


価格の内訳は、大よそ左グラフのような具合になる。手作業で作られているため、大半を作業費が占めているのが大きな特徴だ。


それぞれの項目について、もう少し詳しくみていく。





デザイン料

手書き、またはPCを使って、ステンドグラスの「線」と「色」を決定する、そして、使用するガラスを選択・決定する。

なお、ステンドグラスの良し悪しの9割は、デザインとガラスで決まってしまう。


材料費

ガラス、ケイム(金属の枠・線)、ハンダ、その他消耗品等。

ガラスは30cm角で1000円~1万円程度と、価格に幅がある。安価なものはマシンメイドで、高価なものは職人が一枚ずつ手作りしている。


作業費

具体的には、デザイン画の拡大、型紙作成、ガラスカット・研磨、組み上げ、ハンダ、パテ、クリーニング・仕上げ、などである。


その他諸経費

打ち合わせ、段取り等。取り付けの費用は別途の場合が多い。



価格を左右する要素

前述の内訳は、日本で本物のステンドグラスをオーダーする場合の一般的なものである。ただ、巷には様々なタイプ・価格のステンドグラスが存在している。いくつかの異なった切り口から、もう少し詳しくみていく。


本物のステンドグラスかどうか

世の中には、ステンドグラス風に印刷されたフィルムをガラスに張り付けて、ステンドグラス風にしている製品もある。それはステンドグラスであるのだろうか。


一般的には、カットされたガラスを、鉛などの金属で挟み込んで組み上げられたものが、ステンドグラスと呼ばれている。従って、フィルムやシールを張り付けたものは、ステンドグラス風の装飾であり、ステンドグラスではない。


今更だが、基本的なこととして、「本物」であることが大きな要素である。


日本製かどうか。

他の製品と同じく、ステンドグラスも、中国製、東南アジア製のものが多く普及している


そのようなものは、本物のステンドグラスではあっても、現地で低コストかつ、同じデザインで大量に作られるため、非常に安価である。日本製の手作りのものと比べたら、1/10以下の価格で手に入れることも可能だ。


また、英国製の、シンプルなアンティークパネルを見かけることも多い。これらは、日本製のものと同程度か半額くらいの価格帯で流通しているようである。


これらの外国製のものは、それがダメという訳ではない。ただ、サイズやデザインが決まっており、好みの柄・オーダーしたサイズ、という訳にはいかない。また、デザインが陳腐であることが多い。


フルオーダーで、職人や作家が作ったものかどうか。

日本製のステンドグラスでも、カタログを見て選ぶような段取りで、決まったデザイン・サイズのものを、流れ作業で作っているような場合もある。


一つ一つをデザインしてガラスを決め、職人や作家が手作りしたものと比べると、安価に手に入るのは確かではある。ただ、当たり障りのない無個性なものが殆どだ。

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外国製の絵付けステンドグラス




もう少し細かい視点からみてみる。


大きさ

大きいほど材料費が掛かるので、その分価格は高くなる。

作業費も上がるが、それ程ではない。


ピース数

区切られた一つのガラス片をピースと呼ぶ。ピース数が増えると、作業費が一気に上がる。制作工程の全てで、ピースに比例して作業が増えるからだ。


ガラスの種類・在庫の有無

機械で作った透明なガラスが最も安価である。逆に、世界に数人しかいない板ガラス職人が作った、手の込んだ色ガラスが最も高価である。


また、オーダーメイドでの制作では、使用するガラスの在庫の有無なども関係してくる。一点物の制作のためにガラスを購入するのか、別で使ったガラスの端材で賄えるのか。それによってガラスの費用は大きく変わる。


ピースの形状・シンメトリ性

ガラスを直線でカットするのは、比較的容易で、形の狂いも少ない。一方で曲線でのカットは、正確に行うのが難しく、また、組み上げるのも難易度が上がる。ここは大きく価格に影響するポイントだ。


図柄については、シンメトリ(左右対称)に組まなくてはいけない場合のほうが、正確性を求められるため、難易度は高い。この点は、多少なりとも価格に響く。


ステンドグラスの制作技法

最も多いケイム(太い鉛の線)を使った技法の他、コパー技法、ダルドヴェールなどがある。基本的に殆どの場合はケイム技法で作られる。ただ、技法が変わると費用も大きく変わる場合がある。


こだわり

それ以外にも、ハンダの方法(点付け、全面)、パテの入れ方(片面・両面)、補強の有無、特殊技法(絵付け、サンドブラスト、フュージング)を使うかどうかで、大きく価格が変わってくる。


ボリュームディスカウント

大きさやピース数に価格が完全に比例するわけではなく、ボリュームディスカウントが設けられることが多い。また、同一デザインで複数枚の場合も、割安になる。


(例)1平米100ピース: 30万円 ⇒ 1平米200ピース 50万円

   1平米100ピース: 30万円 ⇒ 2平米100ピース 45万円




おわりに

建築物に入るステンドグラスは、高価なものである。また、家の一部であるため、毎日目に入るものでもある。購入する側としても、ある程度はその価格の成り立ちを知っておきたいところだ。


きちんと納得感を持って購入すれば、より大事にする気も増し、末永くステンドグラスを愛でることができる気がする。また、本来の価値がない物に不相応な金額を払うリスクを回避することができる。


もしステンドグラスをオーダーする場合には、前述の事柄をできるだけ確認し、納得の上、適正価格で購入して頂ければ、幸いである。



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