霊南坂教会
東京都港区の赤坂にある、霊南坂教会。この都心の片隅にひっそりと佇む協会に、巨大なダル・ド・ヴェールが入っているという話を聞き、見に行ってきた。
プロテスタント系の教会だからなのか、外観が協会らしくないので、偶々歩いて通り掛かっても、中にこんな大きなステンドグラスがあることには、決して気付かないだろう。
この教会は、三浦友和と山口百恵が結婚式を挙げた教会として有名らしいが、現在の教会の姿になる前の話なので、その当時にはこのダル・ド・ヴェールはまだ存在していなかったようだ。
とは言っても、1985年に出来たものなので、30年以上は経っている。
霊南坂教会 - Wikipedia
霊南坂教会 - Official
ホワイエのステンドグラス
ステンドグラスは、礼拝堂の外のホワイエと呼ばれる場所に、幅13mに渡って入っている。
ホワイエとは、劇場やホールなどの、入口から観客席までの広い通路のことを言うそうで、「ロビー」のような意味らしい。
大きな作品なので、通路の端から撮っても上下が収まらない。
文字がクッキリと入っている。何語だろうか。
1985年制作 「語りかけ給う神」 原画:田中忠雄、大伴二三弥(アサヒステンド工房)制作。
綺麗なシェル模様。
1枚だけ、独立した小さいパネル。入口(出口?)から入った直ぐのところに。
他にも何点か。
感想・評価
ダル・ド・ヴェールは、厚さ約20~40mmの専用色ガラスをハンマーで叩き割り、そのかたまりをエポキシ樹脂で繋ぎ合わせて絵柄を作る、特殊なステンドグラス技法である。そんなダル・ド・ヴェールの作品をここで取り上げるのは、栄駅のに次いで2回目だ。
ダル・ド・ヴェールのステンドと通常のステンドグラスとの一番の違いは、「線」だ。ケイムの均一な線とは違い、ガラスとガラスの間の隙間、エポキシ樹脂で埋めたところが、自ずと「線」になる。
従って、ダルドヴェールは線が弱い。意図した通りのクッキリとした線が出づらい。太い線にはなるので、線が強い、力強いとも言えなくはないのだが・・・、全体が強くなってしまい、差がつかないのだ。
今回の作品は、教会と言うことで、聖書の中の話を具現化したと思われる人間の絵柄が描かれているが、線の強弱やガラスの強弱が少なく、粗密が乏しいので、やや単調で退屈な印象を受ける。
ガラスの割りが、どうも行き当たりばったりのような気がするので、もっと全体の構成を考えた上での効果的なガラスの割りや色使いが欲しかった。そうすれば、もっと訴求力が上がったはずだ。


あとは、もっとシェルを多用して欲しいと思う。ここで言うシェルとは、分厚いガラスのコバに大してハンマーで叩いたときに出来るハマ欠けのことだ。今回のガラスには、シェルが申し訳程度にしか入っていないが、できることなら、もっと全体に派手に入っていた方が、光の屈折で綺麗に見えると思う。
一片のガラスの大きさに制限があり、ガラスの加工も難しく、コントロールが効かない所為で、どうしても同じような感じになりがちなダル・ド・ヴェール。ドサクサ紛れに出来た線らしいものに頼らざるを得ないが故、表現力が弱くなってしまう。
そこを、敢えて、無理矢理にでもコントロールして、誰かビックリするような作品を作ってくれないだろうか。やる気と機会さえあれば、そんなに難しい事ではない気がする。
ダル・ド・ヴェールの良い作品と言うのは、ほとんど存在していない(見たことがない)上に、自分では作れない(無理)。だからついつい、そんな思いが湧いてきてしまう。