サンゴバン・アンティークだけで作る青いステンドグラス

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構想

サンゴバン・アンティークのフラッシュ(被せガラス)だけを使って、ステンドグラスを制作する。


被せガラスなので、色を削ると透明な地肌が出る。


その効果を使って、カットしたガラスにサンドブラストで絵柄や文字を彫って、それをケイムで繋いでステンドグラスとして組み立てる感じだ。




こちらは、前に文字を彫ったもの。


鮮やかな青とクリアの対比が美しい。




デザイン

デザインは、某 KING-OF-POP の絵柄とした。


言うまでもなく、ここで9割決まってしまう大事な工程。




上のデザインをアップするとこんな感じ。


Illustratorで加工しているのでかなり細かい柄になっている。


ケイムはただの格子状だと面白味がないので、つぎはぎにしてメリハリを出した感じにしている。




制作

青いフラッシュと言っても、型番違いでたくさんの種類がある。そして、一枚の中でも青の強弱がある。


それを上手く活かして、下から上に強弱のグラデーションが効いた、良い感じにしたい。




先に全てのガラスをカット。ピージュを使用。


この上に絵柄を彫っていくのだが、ガラスの大きさを間違うと、絵柄のパズルがズレるので、慎重に。窯で焼くとガラスが縮むので、気持ち大きめにカットする。




ガラスにマスキングを張る。今回はマスキングシートSMを使用。


ガラスとマスキングの大きさを同じにしたので、ずれないように気を付けて張っていく。




サンドブラストが完了。


フラッシュの色ガラスの層は薄いので、簡単に抜ける。遠くから当てても十分なのでマスキングが破れる心配もなし。


今回はアトリエのサンドブラスタを使ったが、結構な量の砂が舞ってとんでもないことになるので、当分は封印。今後は外部で借りようかと思う...。




マスキングを剥がし、ガラスを良く水と中性洗剤で洗い、乾かす。


そして、こんな感じに棚板の上にガラスを敷き詰めて焼いていく。


焼成温度の設定はTOPを755度、キープなしで。ファイヤーポリッシュなので、温度設定はそこまでシビアではない。




ファイヤーポリッシュ完了。良い感じに焼けた。


色と透明部分の段差が小さいので、多少溶けすぎでもエッジがなくなることはない。それよりも、温度が低くて溶けず、透明部分が白いままなのは良くないので、そっちの方に気を付ける。




すべてのガラスで彫り・焼きが完了


絵柄を彫っていないガラスもあるが、テクスチャを合わせるためすべてのガラスを焼成している。




ケイムで組んでいく。今回は、ラウンドの4mmを使用。もらい物なのでどこのメーカーのものかは不明。ケイムを浮かせるテクニックを使っていること以外は、極々簡単な組み。


今回は事前にケイムに全面ハンダを施してある。理由は、ラウンドだと面ハンダした際にハンダが溢れ落ちやすいため。




組み終えてハンダが済んだら、パテ入れ。


ホワイティングとして炭酸カルシウムの粉末を使用。これが油を吸って乾きを促進し、クリーニングをし易くしてくれる。

仕上げ前の状態。


このあと、硫酸銅でケイムを酸化させ、最終クリーニングをする。




完成。




総評

想定通りに仕上がった。


ブルズアイなどのフュージング用ガラスは、青と言ってもここまで微妙な差の青いシートは用意されていない。そこはアンティークならではと言える。


ただ、焼成時にガラスの裏側が溶けてザラザラになるので、アンティークの透明感が失われてしまう。そこは好みの分かれるところだろう。




一番思ったのは、透明部分の透明度が、ブルズアイなどと比べると低いところ。


単体で見ればあまり気にならないが、比べると一目瞭然で透明度が低い。本来は高温で焼成されるガラスではないので、仕方のない部分なのだろう。


そんな訳で、今回は今回で良いとして、やっぱり高温焼成はブルズアイに限るなというのが結論。


ブルズアイは様々なガラスの組み合わせで表現ができ、失透し辛く、良い艶が出る。






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