薬局で買った硫酸銅でパティーナ処理用の溶液を作る

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ステンドグラスのパティーナ処理用液

ケイムやハンダを黒っぽく染めるために使用する腐食用の液は、ステンドグラス界ではパティーナと呼ばれている。金属を瞬時に腐食させる、ということから分かるように、これらには例外なく劇物・毒物が使われており、具体的には、硫酸銅、二酸化セレン、希硝酸などが必ず含まれている。従って、決して容易に自作できるものではない。


自分が今まで使っていたものは、ステンドグラス専用ではなく、工業用の黒染剤(ブラッキーSN)だ。これは、容量が多くて高価なもの。丁度なくなって買わなければいけないタイミングであるため、今回、ちょっと大変だが、実験がてら似たようなものを自作してみようかと思う。


ちなみに、二酸化セレン系のパティーナは、毒性が強く、ガラスに着くと変色する、など良い話を聞かないので、特に今後も手を出すつもりはない。



硫酸銅の入手方法

巷で売られている硫酸銅は、正式には硫酸銅(Ⅱ)五水和物という青色のもの。水が一緒になって結晶化しているからこう呼ばれているらしい。別名は胆礬(たんばん)。→詳細(wikipedia)


薬局で手に入るのだが、その辺の大手ドラックストアや薬局などでは、ほぼ手に入らない様だ。毒物・劇物を扱うには特別な届け出がいるらしく、そもそも家の近所周りには対応している薬局が見つからなかった。色々問い合わせて、新宿区で一件、扱っているところがあったが、TELしたところ、一般人には売れないような感じに言われたりなんだりで・・・結局、都内では、墨田区にある薬局だけが店頭での販売を行っていた(自分の知る限りでは)。


そこへ行けば、身分証明書と印鑑、具体的な用途の記入が必要だが、店頭で即日入手することが可能だ。正式名称は、「硫酸銅(Ⅱ)五水和物、粉末 試薬特級500g」、2,268円(税込)。

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以前はもう少し容易に安価で入手できたようだが、今は随分と厳しくなっているようだ。地下鉄サリン事件やらテロやらの影響だろう。


ちなみに、劇薬に指定されてはいるが、毒性は弱く、溶液を素手で触っても、手が少し青くなる程度で、特に酷いことにはならない(あくまで個人的な経験上)。



溶液を作って試してみる

濃さの違う溶液を何パターンか作り、染まり具合を試してみる。


硫酸銅(Ⅱ)五水和物の飽和溶液(最も濃くできる限界の溶液)は、温度によってかなり差があるが、今の室温(15度程度)ならば20~25%程度のようなので、とりあえず25%の溶液(水75g+硫酸銅25g)を作ってみる。


ペットボトルに計量した水を入れ、紙に載せた硫酸銅を、計測後にペットボトルの中へ入れ、蓋をして振って混ぜる。なお、調理用のデジタルスケールを使用しているので、そこまで厳密ではない。


結果、溶け切らずに、底に硫酸銅が沈殿した。飽和溶液の濃度は、もう少し薄くする必要があるようだ。20%程度だろうか。


従って、その次に15%、そして、10%、5%、2.5%の濃度で溶液を作り、順に試してみる。

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25%と書かれたものは、硫酸銅が溶け切っていないため、実際には20%程度。


今回は、ケイムと、ケイムに全面ハンダしたものの2種類で試してみる。ケイムはマツムラメタルのFH6ソフト。成分は、ほぼ100%近く鉛だと思う。一方のハンダは、64ハンダなので、錫が6割に鉛が4割。


それぞれ、真鍮ブラシで表面を良く磨き、硫酸銅の溶液をスポンジで軽く擦り込んで、1分程度放置するやり方で試してみる。

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これが結果だ。左から、25%、15%、10%、15%、2.5%の順。それぞれ、左がハンダで右が素のケイム。


光の加減で分かり辛いが、ケイムは・・・ほぼ全く染まらなかった。薄っすらと黒っぽくなったかな?程度しか染まらなかった。鉛は硫酸銅では鉛は染まらないのだろうか。これは意外な結果。


一方のハンダは、染まるには染まった。意外なことに、濃い溶液ほど、色が銅色でマダラになり、薄い溶液では、黒っぽく均一に染まる傾向が出た。今回行ったテストの範囲内では、溶液の濃度が薄いから染まりも薄い、という結果にならなかった。それどころか、色の濃さで言うと、2.5%の溶液が最も濃かった。


写真では分からないが、ケイムもハンダも、表面がうっすらと虹色になっている。良く見ないと分からない程度、うっすらと。



おわりに

今まで使っていたブラッキーSNは、有無を言わせずガッツリと染まるので、今回もそんな想像をしていたが、違う結果となった。ブラッキーSNは、硫酸銅が主成分なのは分かるが、他に何か別のモノが入っているのだろう。まあ、あんなに高価なのだから当たり前だけれど。

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ブラッキーSNを3倍くらいに希釈した溶液で染めたもの。


個人的には、染めは、あまり濃い色にならず、多少マダラで風合いがある深い感じを理想としている。それで言うと、今回試した中では、2.5%の溶液が一番近い結果となった↓。

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ただ、そのままだと、ちょっと銅色が強く、酸化被膜の乗りが弱いな~という印象。そのまま使っても良いと思えるくらいの出来だが、もう少し理想を求めてみようと思う。


となると、やはりブラッキーSNを使うしかないかな、と・・・、高いけど。ブラッキーSNと今回作った溶液を混ぜて使えば、良い感じになるような気がする。試してみたい。高いけど。


なお、今回購入した500gの硫酸銅を2.5%の濃度で使うと、20リットルにもなる。この先数年は使えそうだ・・・。



 8 件のコメント

  1. 名前:ミタニ ユタカ : 投稿日:2018/01/17(水) 17:42:32 ID:EwNzU0OTg

    最近はステンドグラスをしていないので、うろ覚えで申し訳ありませんが、半田には、表面をきれいにしてから「ムトウアップ(六-十ハップ)」を塗布してから「硫酸銅(20%液)」を塗布していた記憶があります。

  2. 名前:kyukon-stained-glass : 投稿日:2018/01/17(水) 21:07:50 ID:A0MDQwMTU

    コメントありがとうございます。

    六一〇ハップを使ったやり方は、聞いたことがあります。入浴剤ですよね。

    今は売られていないようですが、類似品がamazonで売られているようなので、機会があったら試してみたいところです。

  3. 名前:のりお : 投稿日:2020/12/15(火) 15:18:25 ID:YxNjM4MzQ

    鉛を黒く染める方法を検索し貴サイトにたどり着きました。
    少し古い記事ですが、これから進展等ありましたでしょうか。
    鉛を黒く染める最適解がありましたらご教示いただけますと助かります

  4. 名前:kyukon-stained-glass : 投稿日:2020/12/15(火) 15:54:13 ID:A1MDA3NzE

    コメントありがとうございます。

     

    私はハンダ(錫6鉛4)を染めるこがしたく、試行錯誤しています。その後、多少進展はありましたが、あまり良い感じにはならないですね。金属の温度が大きく関係しているので(金属を温めると黒くなる)、制御が難しいです...

     

    鉛100%を黒く染めるのでしたら、私の知る限り、記事内にも上げているブラッキーSNという溶剤が一番良く染まりました。ただ、真っ黒ではなく、濃い焦げ茶色ですね。

    ↓これは、ブラッキーSNで染めた鉛です。ご参考になれば幸いです。

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  5. 名前:名無しさん : 投稿日:2020/12/17(木) 12:19:14 ID:YxNjM4MjI

    画像までつけていただきありがとうございます。
    少量を個人で使うだけなので、ブラッキーの購入は難しそうです。

    硫酸銅を主原料にした市販品もあるようなので、もう少し探ってみたいと思います

  6. 名前:kyukon-stained-glass : 投稿日:2020/12/17(木) 13:11:32 ID:A1MDA3NzE

    ブラッキーは確かに高価ですね。最低1L:9千円弱しますね。

     

    もうちょっと小分けにして売られていたら、私も買いたいところです...。

  7. 名前:シアトリ : 投稿日:2021/06/15(火) 17:50:14 ID:I3OTQ1ODE

    こんにちは、趣味で金属細工を作っているものです。
    パティナを施すための硫酸銅を探しているうちにこのブログにたどり着きました。他にも記事を読ませていただきましたが、とても参考になる記事で興味深かったです。
    こちらに写真をあげているSHOWAの硫酸銅を購入したいのですが、墨田区の薬局の名前を教えていただくことはできますでしょうか。メールアドレスを記入させていただきますので、ご連絡いただけると幸いです。
    よろしくお願いいたします。

  8. 名前:kyukon-stained-glass : 投稿日:2021/06/15(火) 18:30:49 ID:A1MTU3OTE

    コメントありがとうございます

     

    購入した薬局さんのサイトを久々に確認したところ、店主の方が先日お亡くなりになったとのことで、営業を停止されているようです。

     

    後ほど詳細をメールさせて頂きます。

     

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