ガラスは傷付きやすい
ガラスは割れたり傷付いたりしやすい。真っ二つに割れてしまえば諦めもつくが、少しだけ欠けたりすることもある。買ったときは気付かなかったけれど、結構大きな傷があるのが後から分かったりもする。
特にアンティークの大板なんかは、全く傷がないことはほぼなく、板を作る過程や保管したり人の手で動かす際に、どうしても傷がついてしまう。テクスチャがなくツルツルなので、それで余計に目立ってしまうことも多い。
今回は、そんな傷を消す(目立たなくする)方法を、具体例を用いてご紹介しようと思う。
こちらが今回の傷。
光に透かすとこんな感じ。
これはこれからステンドグラスで使うガラス。直線でカットしたのだが、なぜか気が付いたらハマ欠けしてしまっていた...。ハマ欠けとは、ガラスの断面がハマグリのように欠けてしまうことを言う。
ケイムで隠れる程度の欠けなら問題ないのだが、明らかにそれ以上に欠けてしまっている。ランバーツの特殊なガラスなので替えが利かない。機能的には問題ないのだがそのまま使うのは心苦しいので、これを今回何とか目立たなくできればと思う。
なお、このガラスはフラッシュグラス(被せガラス)なので、表面に薄く色がのっている。今回欠けたのは被せではない側なので削って対処できるが、逆の場合はどうにもならない。
傷や欠けを消すには
結論から先に言うと、酸化セリウム × 電動工具 である。
酸化セリウム
セリウムという金属の酸化物で、茶とピンクの間のような色の粉。日焼け止めの成分としても使われる人にやさしい物質で、天然のミネラル。ガラスの研磨に使われる粉と言えば酸化セリウム一択と言って良いほど、ガラス業界では有名なもの。
酸化セリウムは、単に研磨剤としてガラスの表面を削っているだけでなく、化学反応によって表面の凹凸を滑らかにするという大きな特徴がある(ガラスの主な構成元素であるケイ素(Si)とセリウム(Ce)が化学的に反応して傷を修復するイメージ)。
酸化セリウム
電動工具
酸化セリウムに水を含ませ、布なのでひたすらガラスを磨く訳だが、手で磨くと日が暮れても日付が変わっても終わらない...。必然的に電動工具に頼ることになる。
電動工具 - リューター+クリスタルバー
リューターは、小型の精密グラインダーのようなもの。それに、クリスタルバーという、最初から酸化セリウムが含まれている特殊な硬質スポンジを接続している。小さな箇所を磨くのに向いている。
電動工具 - インパクト+フェルトホイール
こちらは酸化セリウムの粉を含んだ、「ガラセリウム」という商品。
これをフェルトホイールにつけ、水を含ませて使う。
この方法が、自分が知る限り、ガラスの傷を消す実質的に唯一の方法ではないかと思う。
なお、全く別の手段として、フッ化水素酸というガラスを溶かす酸を使って傷を溶かしてしまう方法が考えられるが、人間も溶かしてしまう劇薬なので、試そうとは思わない...。
実演
先ずは、傷全体の上から大きくルーターをかけ、ハマ欠けを大胆に完全に取り除く。
そうすると、すりガラス状になる。これを、ひたすら磨いて透明にしていく。
30分くらい磨いたところ。ほんの少し艶が出てきた。
更に30分くらい磨いたところ。艶が増したが、まだまだ先は遠い。
磨き初めて2時間ほど。内側はルーターの傷が完全になくなった。ただ、段差がちょっと目立つ。
角度を変えると目立たない。
更に30分ほど、開始から計2時半ほど磨いた。キリがないので今回はこのくらいにしておこう。
別角度。
白い紙の上でこの角度だと、殆ど傷はなくなって見える。
少し上から。完全に磨かれてツルンとしているのが良く分かる。
ケイムをはめてみたところ。ほぼ違和感はない。
まとめ
酸化セリウムを使って電動工具でガラスを磨くのが、傷を消す実質的に唯一の手段。
今回のように傷が大きい場合は、ルーターなどで傷をえぐり取り、その跡が周りに馴染むようにひたすら磨くことになる。
非常に時間が掛かるので、あくまでも緊急時の作業。決して日常的に行うものではない。
以上。