ステンドグラスを始めて一年ほど経ちますが、ガラスカットはえぐりの曲線が切れれば何でも切れるんじゃないかと!(特殊な形はのぞく。)
・・・と言う訳で、丁度良い感じの型紙があったので、自分なりの上手に切る手順を残しておきます。
ガラスカットの基本。直線と曲線
ガラスをカットする一連の動作は、もう少し細かく見ると以下の段階から成ります。
・ガラスに型紙を当て、油性マジックで型紙のラインを引く。
・ラインの内側に沿って、ガラスカッターでガラスに傷(スコア)を付ける。
・ガラスにひびを入れ、そこから割る。
そして直線と曲線。
大きく分ければこの2種類のカットがありますが、直線は比較的簡単です。ガラスカット用の定規を当て、奥から手前に引いて切ります。きちんと正しい位置に定規を当て、正しい力・角度でカッターを走らせれば、あまり失敗はありません。
一方で曲線は、定規を使わず、手前から奥へ押して切ります。フリーハンドで行うため、完璧に線通りに切ることは難しく、また割る際に良からぬ方向へスコアが走ることもあります。
<直線が引きで、曲線が押しな理由>
直線が引き・・・例えば、カッターで紙を切る際には、押して切る人はいない。自然にそうなる。そんな理由。あと、力が入り易い。
曲線が押し・・・コントロールが難しく、刃先を見ながら慎重に切ることになる。ガラスカッターの持ち方にもよるが、引いて切ると刃先とガラス面との接点が見えない。見て切る必要があるから。
カットに使う道具は、基本的にガラスカッターだけです。割る際は基本的に手(右手親指の腹の下、IP間接の部分)で割ります。コツは、スコアが入ったラインの片側を手で持ち、裂いてスコアを走らせるイメージでガラスを割ることです。その際、左右にガラスを引っ張って離すイメージも持つと良いでしょう。但し、細かいピースは手で割れないため、プライヤーを使用します。また、タッピング(スコアの裏側を、ガラスカッターの反対側の丸いところを使ってガラスを叩き、ヒビを入れる)は行いません。プライヤーで十分だからです。
ガラスカッター
MITSUBOSHI M16 Normal Wheel、APIO
先に鋼鉄製の小さなホイールが付いた、オイルカッターです。
ブレーキングプライヤー(BREAKING PLIERS) 通称「ワニ口(わにぐち)」
独BOHLE社 Knipex
グロージングプライヤー(GROZING PLIERS)とも言うようです。
スコアに沿ってガラスを切り離す際に使います。
下の写真で言うところの、内側が曲線になっている部分を下にしてガラスをはさみ、ガラスを割りとります。先が細くなっているタイプの製品もあり、細かい箇所の割り取りに重宝します。できれば両方揃えておきたいところです。
ランニングプライヤー(RUNNING PLIERS)
独BOHLE社 Silberschnitt
スコアに沿ってヒビを走らせるために使います。
右側の中央に突起があるパッドを下側にし、ガラスのスコアの真下に入れて挟み、ゆっくりと握ってスコアを走らせます。(使用例:YouTube)
最近使い始めました。良い感じです。
BOHLEアングルカーブプライヤー - Yahoo!ショッピング
手順
一つのガラスピースを何回かカットして切り出す際の、具体的な手順を見ていきましょう。
先ず考える
どのような手順で切るか、少し考えましょう。失敗する時は、大概は闇雲に進めた時です。
原則、切るのが難しい箇所から順に切ります。失敗するなら早い段階の方が良いからです。
カットラインを引く
型紙をガラスに当て、油性ペンでカットラインを引きます。カットラインを引かず、ガラスと型紙のわずかな段差にカッターの刃を当てて切る方法(ストロングスタイル)もありますが、今回の場合は複雑な形なので、普通にカットラインを引いてその内側をカットします。
その際、右図③のように、直線部分をガラスのへりの直線に当てたくなります。
が、そうすると、②の部分をカットする際に赤丸の箇所が欠けやすいため、ガラスのへりより内側に少し離して当てます。
難しい順にカットする
⑤→②→①→⑥→④→③の順にカットします。
これは、えぐりがキツイ順です。
例えば、④を先にカットしてしまうと、⑤をカットする際に赤丸の箇所が結構な確率で欠けます。これを避けるために、カットする順番は大事です。
また、時間的な意味でも、難しい順にカットした方が効率が良いです。最後に難しいカットを残し、そこを失敗すると、それまでの作業時間とガラスが無駄になってしまいます。
今回、⑤②の箇所はカッターでスコアを入れた後、ランニングプライヤで弧の両側でヒビを少し走らせた後、手で割り取りました。
2段階に分けてカットする
続いて①です。ここを一発でカットすると、そこそこの確率で赤丸の部分から割れてしまいます。それを避けるために、赤線の部分で一旦カットします。
そして本番です。割れずに綺麗に切れます。
右側からカッターを入れ、割る際も右側から割り取ります。今回はワニ口を使用しました。
⑥も同様にカットします。
ガラスをカットする際、「使う側」と「捨てる側」ができますが、図の⑥の上部のように、「捨てる側」の面積が広い場合、このままカットして割ると、おそらく赤丸の箇所当たりで「使う側」にヒビが入ってしまいます。これが、ガラスをカットする際にとても重要な、小さい側が割れるの法則です。
従って、必ず、「捨てる側」を「使う側」より小さくしておいて、最後、カットラインに刃を入れると良いです。
後は簡単に切れますね。
この程度の簡単なカットは、カッターでスコアを入れたら、工具を使わず手で割ってしまいます。手で綺麗に割れますし、工具を持ち替える時間も掛からず効率が良いです。
その際、薄手のグローブをしていれば、手を切ることなく安全に行えます。
ガラスは、基本的には手で割る。ガラスが非常に大きい場合は作業台の角で割る。ピースが小さい場合やきつい曲線の場合はプライヤーを使って割る、と覚えると良いでしょう。
終わりました
このガラスはケイムを使ったパネルで使用するため、ガラスの際から1~2mm程はケイムに隠れてしまいます。従って左上の箇所は欠けていてもOKです。
お役立ちサイト
ブルズアイ社の公式です。英語ですが、画質も良く、大いに参考になるかと思います。
達風さんです。めちゃくちゃ参考になります。ボーレのプライヤーはここを見て購入しました。ここで学んだことを上でそのまま言ってたりします...。
最後に
ガラスカットは、きちんとした道具を使い、正しい手順を踏み、ある程度の経験を積めば、正確に、ガラスのロスが少なく切れるようになります。先ずはそこを目指し、その後、必要に応じてスピードをつければ良いと思います。
少し経験を積んで上手に切れるようになれば、カットが楽しくなり、加速度的に上達することでしょう。
また、ガラスカットは、個々人の体型や腕力によっても方法が少し違ってきますので、自分の「型」を見つける事も、上達への近道かと思います。
こんにちわ。
皆さん大なり小なりコロナの影響を受けて
おりますがKYUKONさんはいかがでしょう?
オイラは介護系の仕事なので業務プロセスが
ちょいと増えました。
ただ一般社会で思われてるような大変な事態には陥ってません。
発症者が出ない限りは通常業務が少しばかり煩雑になった~そんな程度の変化で済んでおります。
個人的には外に出る機会が減ったのでそのぶんステンドに費やする時間が増えました?
もっとも図案を考える時間が長く作品は一向に完成しません。笑
構図を考えた際にやはりエグリの部分をどうするか?
ここで悩んでしまうのですね。
この小さな食い込みは無理だろう~
このえぐりはきついな~
等々考え書き直すうちに時間ばかりが過ぎていくのです。
そして図柄はどんどん直線的な単調なものとなって最初のイメージはどこかへすっ飛びやはり書き直すかな~
若葉マークにとってエグリは鬼門です。