laser焼成テスト
前回ご紹介した新しい電気炉、laserの焼成テスト。先ず、きちんと動くかどうかの稼働テストでは、300℃まで30分程度で昇温した。
続いて750℃まで上げるテスト。以下のように棚板を左右に3段ずつ重ねてテストピースをちりばめて、焼成。プログラムは、電気炉のフルパワーで750℃まで上昇させる設定にしている。
定期的に温度を計測し、グラフ化。
| 時刻 | 炉内温度 |
|---|---|
| 13:42 | 88 ℃ |
| 14:04 | 262 ℃ |
| 14:25 | 341 ℃ |
| 14:54 | 410 ℃ |
| 15:50 | 509 ℃ |
| 16:12 | 541 ℃ |
| 16:37 | 577 ℃ |
| 17:28 | 644 ℃ |
| 18:28 | 704 ℃ |
| 19:15 | 745 ℃ |
| 19:22 | 750 ℃ |
数字の羅列だけだと法則が分かり辛いが、グラフにするとこの電気炉の限界値が良くわかる(※開始の温度が88℃になっているのは、事前の稼働テストでの余熱が残っていたから)。750℃まで上げるのに、5時間40分。ちなみに、真夏なので外気の温度は35℃くらい
銘板に「MAX TEMP 1000℃」と書かれていたが、恐らく800℃~850℃くらいまでしか上がらないだろう。この1000℃というのは物理的な理論値と言う意味で、実際に1000℃まで上がることが保証されている訳ではないのだと思う(車のスピードメーターのようなもの)。仮に中が空の状態なら1000℃近くまで上がるかもしれないが。フュージングで必要なのはせいぜい830℃くらいなので、最高で何度まで上がるかのテストは行わない。
溶けたブルズアイのガラス。昇温に時間が掛かるからと言って、失透するようなことはなかった。
↑場所による溶け方の違い。左上が一番上の棚板、右上が上から二番目、左下が上から三番目、右下が底面。左右の棚板で特に差はない。
一番上はヒーターからの熱が直接当たるので、当然良く溶けている。逆に棚板ではなく炉の底に置いた場合は、棚板に隠れたガラスは溶けが悪い。ここまでは当たり前の結果。2段目/3段目の溶け方が、直接熱が当たることもなく、熱せられた空気が棚板を裏から温めてガラスが均一に熱せられているような気がした(大きなピースも割れ辛いのではないか)。
性能確認と妥当性
薄々、単相の200Vで動く電気炉にしては電気炉内の容量が大き過ぎるなと思っていた。
実際に動かして、一般的な電気炉と比べて昇温がかなり遅いので、ギリギリの設計なんだなと痛感した。なお、実際にヒーターがきちんと稼働していない可能性も考えられるので、実際に流れている電流値を測定してみた。
分かり辛く写っているが、銅色の線の方に非接触のクランプを入れている。
電流を非接触で計測できるクランプメーター。知人がたまたま持っていたので借りてきた(この1回の計測のために購入するには高価すぎるシロモノ)。フルパワーで稼働時には18Aが流れていることが確認できた。ちなみに、単相200Vの2本の線の両方を測ると相殺されて0になってしまうので、片方だけで計測する必要がある。配線のケーブルや制御BOXを含めた電気炉側で計測するのは難しいので、分電盤から電気炉へ行く配線の大元で計測している。
抵抗値は前回計測した通り11.25Ω。従って想定される電流値は電流200V÷11.25Ω≒17.8Aなので、ほぼ理論値通り。つまり、電流が正常に流れている=ヒーターが正常に稼働していることになる。
この電気炉、消費電力がもう少し足らなかったり、容積がもう少し広かったら750℃まで上がらないのではないか?
と言うのも、ちまたの市販品の電気炉を見てみると、3.5kwくらいのものは電気炉内容積がせいぜい60Lくらいなのだ。
電気炉の内容積と消費電力、他の電気炉との比較
※W×H×Dでは分かり辛いので、内容積:L(リットル)で表している。(例:520mm×1010mm×250mm=131300ml=約131L)
| 電気炉 | 内容積 | 消費電力 | メモ |
|---|---|---|---|
| laser | 131L | 3.6kW | 750℃までフルパワーで6時間弱度 |
| 先代の電気炉 | 53L | 3.8kW | 830℃までフルパワーで3時間程度 |
| 国内メーカーK社のもの① | 64L | 5kW | |
| 国内メーカーK社のもの② | 100L | 8kW | |
| 国内メーカーS社のもの | 18L | 4kW | |
| パラゴン① | 31L | 3.34kW | パラゴン② | 135L | 10.8kW | パラゴン③ | 368L | 12kW |
他の電気炉と比べると、laserは内容積に対して本来6~10kWくらいは必要なのだ。そこを、高温域での昇温速度を犠牲にして、ギリギリの消費電力で動くように設計されている。
それ以外の、laserが大容積・低火力なのに使えちゃってる理由の予想
耐熱レンガなどではなく断熱性・保温性が高く蓄熱性の低いケミカルのボードが使われている。
トップファイヤー(天井発熱、上火)方式で、輻射熱を使った無駄のない加熱が行われる
他の電気は陶芸などで使われることを想定して1000℃~1300℃まで上げられることを想定しているが、laserは絵付け・フュージングで使われることを想定したギリギリの設計をしている。
気密性?(根拠なし)
セラミックパイプに電熱線が巻かれている、やや特殊な構造。それも関係している?
理想の電気炉は
いつか自分で電気炉を作りたくなるかもしれないので、今の段階での理想形を備忘メモ。laserが転がり込んでくるとは思っておらず、自作しようとして色々調べていたので、それも含む。
| 内寸 | 縦450mm、横900mm、高さ200mm(内容積81L) |
|---|---|
| 電源・電気容量・消費電力 | 単相200V 20A 4kW(一般家庭で普通に使える最大値) |
| 最高温度 | 常用750℃/最大900℃ |
| ヒーター部 | トップファイヤー方式、1.8~2mm径のカンタル線使用で、10Ωの抵抗値。セラミックパイプ使用。 |
| 制御ボックス |
外付け制御ボックス プログラムコントローラー:PZ900(理化工業)16パターン×16セグメント登録可能、LED表示。 サイリスタ:SSNP-25F(理化工業)25A位相制御方式 |
| その他 |
形状、その他機能はlaserに似せる。 炉内の素材は、軽量断熱材(セラミックファイバー系・ケイカル系)を使用。 K熱電対使用。 通気口あり。 |
laserが結構理想形に近いので、これをベースにして少し小さくして、制御ボックスは日本で入手できるパーツで組む感じ。
何年か経つと今色々考えてることもすっかり忘れてしまう。こうやってメモしておくことで数年後に役立つことも多い(経験上)。












