TTM-339の使い方を書きたい
電気窯についているTTM-339というプロコンの使い方を、大いにメモる。
主に自分のためのメモだが、この窯をいつか手放すことがあれば、その後に使う人のために。あとは、これから新たにTTM-339を使ってフュージングする人が、もしいれば、その人のために。
今まで書いたブログの記事の中で、ダントツで需要無いと思うが、書かずにはいられないので。マニュアルがあまりに理系の論文みたいなので、家電の説明書レベルで分かり易く書く。実際使って動作したことをベースにしているので、内容は間違いない。
ちなみにこのプロコンは、マニュアルだけ読んで、一発できちんと動作させることは、ほぼ不可能だと思う。
最低限の用語
プログラムコントローラー
略してプロコン。予め設定したプログラムを使って動作を自動で制御(コントロール)する装置。このTTM-339のこと。
パターン(PTN)
プログラムのこと。後述の線グラフで現される、焼成の一連の流れ。いくつかのステップから構成される。
ステップ(STP)
何度まで、何時間かけて上げる/下げる、何度を何分キープする、という部分。下のグラフは、5つのステップで構成される。セグメントとも言う。
PV
測定値。現在の値(温度)Present Value。
SV
設定値。目標とする温度。到達温度。Setting Value。
プログラム設定
上の焼成グラフ(パターン)の場合の設定方法を記す。各ステップの設定値と説明は以下の通り。
STP | 設定温度 | 設定時間 | コメント |
---|---|---|---|
1 | 780℃ | 3:00 | 常温から780℃まで3時間掛けて上げる。 |
2 | 780℃ | 0:30 | 780℃を30分キープしてガラスの溶けを促進。 |
3 | 482℃ | 0:01 | 482℃まで可能な限り早く温度を下げる。あり得ない少ない時間を入力すれば良いが、0:00では動作しない。ヒーターが切られている、実質、OFF状態。 |
4 | 482℃ | 0:30 | 482℃を30分キープ。アニールソーク。 |
5 | ---- | なし | 設定温度を「----」と入力すると、運転が停止される。その後、自然冷却。 |
例えば、パラゴンの窯についているプロコンは、1時間あたり何度上昇のスピードで何度まで、という設定だが、このプロコンは何分かけて何度まで、という設定方法になっている。国産のプロコンは、このような考え方のものが多いらしい。
プログラム設定の具体的な操作方法
s.01
電源を入れて6秒ほど待つと、この画面になる。
この窯は初期設定でパターンが1~11まであり、この画面はパターン2が選択された状態。
表示切替ボタンを押すと、パターンを選択できる。
s.02
パターン選択画面。
今回の場合は、パターン3の設定を行うので、△ボタンを押す。
s.03
パターン3が選択された状態。
選択ボタンを押す。
s.04
パターン3のステップ1:温度の設定画面になる。
s.05
▽△桁移動ボタンを操作して温度を設定する。
s.06
温度が設定された。
選択ボタンを押す。
s.07
パターン3のステップ1:時間の設定画面になる。
s.08
▽△桁移動ボタンを操作して時間を設定する。
画面は、時間が設定された状態。
選択ボタンを押す。
s.09
同じ要領でステップ2の温度を設定する。
選択ボタンを押す。
s.10
ステップ2の時間を設定する。
選択ボタンを押す。
s.11
ステップ3の温度を設定する。
選択ボタンを押す。
s.12
ステップ3の時間を設定する。
選択ボタンを押す。
s.13
ステップ4の温度を設定する。
選択ボタンを押す。
s.14
ステップ4の時間を設定する。
選択ボタンを押す。
s.15
ステップ5は自然冷却なので、実質ステップ4でプログラムは終わり。ステップ5で終了という意味の設定をここでする。
▽△桁移動ボタンを操作して、画面のように横棒が並んだ状態に設定する。
選択ボタンを押す。
s.16
上のステップ5の設定が終了を意味するので、最後に実行回数を入力する。
通常は1がデフォルトで表示されるが、0になっていると無限ループになるので注意が必要。
選択ボタンを押す。
s.17
ステップ1に戻る。
ここで選択ボタンを押す毎に各ステップの値が確認できるので、設定が正しいかを確認する。
設定が正しければ、リセットボタンを押す。
s.18
最初の画面の、パターン3が選ばれた状態になる。
ステップ数が4になっているが、5は設定はするが終了の設定で中身がないので、ステップ数は4とカウントされる。
運転/保持ボタンを長押し(2秒)すれば、このまま運転を開始することもできる。
全体的な特徴として、設定を保存する、というような操作はなく、値を入力すれば自動的に記憶(保存)される。
運転方法・表示確認方法
r.01
パターン3が選ばれた状態。
※パターンの選び方は、前項のs.01~s.03を参照。
運転/保持ボタンを長押し(2秒)。
r.02
運転が開始された。
現在のステップ数、PV/SV値などが表示される。
RUNが点灯しているのが運転中のあかし。OUTは、加熱しているとに点灯する。
赤の右上がりの記号は、運転状態(温度上昇中)を表している。
これ以降、プログラムが正しく設定させれていれば、全自動で動いてそのまま終了するので、何も操作は必要ない。ただ、最初のうちは、正しく動作しているか、適宜確認した方が良い。
r.03
ステップ2に入ったところ。
運転状態が「--」になり、温度キープの状態を表している。
r.04
ステップ3に入ったところ。
急速冷却のステップなので、加熱されておらず、OUTは点灯していない。
r.05
上の画面で表示切替ボタンを押したところ。設定時間/経過時間を確認できる。
表示切替ボタンを押すたびに様々な値に切り替わる。この画面から表示切替ボタンを3回押すと、上の画面に戻る。
r.06
ステップ4に入ったところ。
r.07
最終ステップであるステップ4が終わると、ENDと表示される。
設定を間違うと、想定外に温度が上昇したり、時間になっても運転が終わらない事がある。最初のうちは、最後まで気を抜かず、定期的に動作を確認した方が良い。
また、運転終了または長時間の徐冷工程に入るまでは、そばにいて見届けた方が無難。万が一だが、火災の原因になることもあり得るため。
途中で運転を終えたい時は、リセットボタンを長押し(2秒)する。
一歩進んだ機能、補足情報など
運転中のステップの先送り
ステップ戻り: ▽ボタン長押し(3秒)(PV/SV画面)
ステップ送り: △ボタン長押し(3秒)(PV/SV画面)
運転中の設定値変更
経過時間早戻し: ▽ボタン (経過時間表示画面)
経過時間早送り: △ボタン (経過時間表示画面)
オート運転・マニュアル運転の切替
手動/自動ボタン長押し(3秒)
停電、ブレーカー落ちの時の対処
初期設定で、運転中の場合は復帰後も運転が自動で開始されるようになっている。
取扱説明書、マニュアル等がダウンロードできる。
最初のうち、実行回数というのがわかっておらず、無限ループで運転されてしまっていて、パニクっていた。フュージングでループとかあり得ない訳だが、汎用的なコントローラーなので、その辺りもきちんと設定しないときちんと動かない。
ただ、操作を何回か繰り返して一度全体像を理解してしまえば、とても簡単なものだ。
このページの情報が、はじめてTTM-339でフュージングする人(ほぼいないと思うが...)の足掛かりになれば幸いである。
以上。
お窯導入ですね。
オイラも先日初めて窯焼き体験しましたがもちろんコントローラーなんか付いていない小型の機種です。
横っちょに温度設定のダイヤルだけがポチとあり焼き上がりは◇のものも▽にカットしたものも全て丸く洋服のボタンのようになっちゃいました。