構想
ガラスの表面に何らかの加工を施して魅せる技法としては、以下のようなものがある。
絵付け
その名の通り、専用の絵の具でガラスに描いて焼き付ける。仕上がりはフラット。
フュージング
ガラス同士を溶かして融着させる。乗せたガラスの分、盛り上がる。
接着(ラミネート)
ガラスにガラスを接着剤でくっつける。紫外線で硬化する特殊な接着剤などが使われる。
サンドブラスト・エッチング
表面を高圧の砂で削ったり薬品で溶かしたりする。加工面は凹む。
今回はサンドブラストだ。
サンドブラストは、ガラスに砂(サンド)を強く吹き付け(ブラスト)ることにより表面を削るガラス加工の手法である。エッチングも、厳密には違うが昨今はほぼ同じような意味で使われる。
通常は、それによりガラスに絵柄を”擦りガラス状”に掘って魅せるものであるが(上の写真)、今回は違う使い方をする。掘った箇所に黒インクを入れることにより、絵付けのような効果を狙ってみる。
従来のステンドグラスは、光にかざすとケイムの黒とガラスの輝きの強いコントラストが生まれるが、黒インクを入れた箇所は、ケイムと同じ「黒」側の立ち位置になる。
本来ならば絵付けで行うようなことなのだが、身近に設備がなく手間なので、その代用手段のようなものだ。ただ、考え方によっては、絵付けよりも、定着度が高いとも言える。ガラスを掘ってそこにインクを入れるため、仮にインクが消えても、掘った跡は残るためだ。
この試みにより、表現の幅が広がれば良いと思っている。
今までの試みに比べると、加工を外注する必要があることもあり、失敗に終わる確率が高めだが、まあとりあえず進めていきたい。
それにより、前の2液の時と同様に、
●このテクニックはどの程度使えるのか。
●使い勝手、メリット・デメリットは。
●このテクニックにより表現の可能性はどの程度広がるか。
などを検証していきたい。
デザイン
ガラスに絵を描くようなものなので何でもできてしまうのだが、とりあえず、
文字:漢字、英語
ある程度具象的な画
幾何学的な線、図形
この3点は押さえておきたい。
Illustratorで描くので、クッキリ・ハッキリしてしまいがちだが、それはあまりよろしくない。安っぽくなりそうだからだ。風合いや情緒を大切にしたい。
とりあえずこんな感じになった。サイズは、W342×H629。もう少し抽象化してデザインっぽくした方が格好良いのだろうが、まあとりあえずこれで。
ガラスの色を仮で入れてみる。
ガラスピースだけ(=型紙)のイメージ。
一見複雑そうに見えるが、サンドブラストと2液での張り付けを多用しているので、ガラスとしては23ピースだけだ。中のケイムは6mmと3mmを使用している。
ケイム線と違い、サンドブラストの画は絵描きの技術が必要なので難易度が高く、ややしんどい。ざっと描いてみたが、このデザインは時間を置いてまた見直したい。大きく変更があるかもしれない。
次回、デザインの見直しとガラス選定、そして肝心要のサンドブラスト業者選定や発注などを進めていこうかと思う。