縦長のステンドグラス
建具(ドア)や、建具の脇(袖、建具袖)にステンドグラスを入れる場合、全面に入ることも勿論あるが、建具自体の機能や素材感を活かしつつ、その一部に縦長な矩形のステンドグラスを入れることが、しばしばある。
下の図のようなイメージだ。
縦長で幅が狭くなるので、デザインにはそれ相応の制限ができ、また、縦に長いため目線から外れた上下の位置にも工夫が多少求められる。
そんな、ややイレギュラーなかたちのステンドグラスを、今回課題として幾つかデザインしてみることとする。
デザイン
と言う訳で、3点ほどデザインを描いた。
一つ目。先日紹介したライトのステンド、クーンレイ・レジデンスを縦長バージョンで。
元のデザインの良さを十分に活かせているとは言えないが、横幅がないのでこんなところだろう。
ガラスは、太い線の正方形の箇所が不透明の白、それとビビッドな黄色以外の背景は、クリア(ショットのアーティスタなど)のイメージ。5mmと10mmのケイムでメリハリをつけつつ、ライト特有のデザインのリピティションで魅せるステンドグラス。

二つ目。これも、ライトのステンド、ロビー邸の縦長バージョン。元のデザインとはイメージが違うが、これはこれでドアに良く合っている(と思う)。
5mmと10mmの線でメリハリをつけ、ガラスはアンバー系の半透明とクリアの2色のみ。ややくどいので、一般住宅にはマッチしないかもしれないが、ピース数を半分くらいにしても、十分に元のイメージを損なわないものに出来ると思う。それならきっとマッチするだろう。
直線オンリーのシンメトリーデザインで、硬さがあり、メカニカルでもある。女性よりも男性が好むタイプのステンドかもしれない。

三つ目。円と水平垂直線のコンポジション。ケイムは前の2つと同様に5mmと10mmでメリハリをつけ、円をバランスよく配置。ガラスは、クリアのロンデル以外はとりあえず未定。
ピース数が多く、派手だ。このステンドと調和をとれる住宅は、かなり豪華なものになってしまうかもしれない。ただ、ピース数や円の数を、半分か、更にその半分くらいにすると、もう少し一般の住宅に馴染む風にはなると思う。
建具のような、日常的によく目に入る場所のステンドグラスは、あまり派手だったりクドいモノは避けたい。周囲に馴染む親しみやすさの中にも、キラリと個性が光るようなモノ望ましい。ただ、今回はどうだっただろうか。
今回のデザインは、やや派手でクドい・・・のは否めないが、ここから洗練させていくことで、理想により近づけるだろう。シンプルを複雑にするより、複雑をシンプルにした方が容易なのだ。
と言う訳で、このようなテイストのステンドグラスに少しでも興味を持たれた方からのご依頼を、心よりお待ちしております。