大阪市北区の中之島にある、歴史的にも重要な建築物。正面の窓に大きなステンドグラスが入れられている。国の重要文化財。
大正の初期に作られたこの大阪市中央公会堂は、同時期に造られただけあって、以前訪問した横浜市開港記念会館に雰囲気が似ている。
そのレンガと石で造られた立派な佇まいは、外観だけでなく内部もしっかりとした造りになっており、十分に見応えがある。
訪問した日は、結婚式、フラダンスか何か?の発表会、ゴスロリ衣装の展示会?などが催されていて、人が多くとても賑やかであった。
地上3階、地下1階の建物で、お目当てのステンドは3階の正面。
1階からエレベーターに乗り3階へ行き、特別室へ。入場料はいらないが、いつでも自由に見学できる訳ではない模様。
メインのステンド。大き過ぎて正面から綺麗に画角へ収まらない。
縦のラインには、土偶のような草花を抽象化したような、不思議な模様が描かれている。
特別室は窓際にあるが、中の方の集会室にも天井にステンドが入っている。ただ、この日は使用中で撮影できず。
特別室のステンドも含め、行けば必ず見られる、というものでもないようなので、事前に確認が必要だ。
外から撮影。中からと違い、全体の意匠が確認できる。
地下に展示室があり、建物細部の背景や歴史を知ることができる。
ステンドグラスの修復は、ベニス工房という老舗のステンドグラス工房がおこなったとのこと。
精工に造られたミニチュアの模型。
ここのステンドグラスの制作者は、木内真太郎だ。彼の作品を全て見た訳ではないが、恐らくこのステンドが代表作なのだろう。
奇しくも、同時期に造られた横浜市開港記念会館と同じ「鳳凰」がメインのモチーフになっているが、当時の流行りだったのだろうか。
大きな円に沿って鎮座する2匹の鳳凰は左右対称に描かれていて、収まりが良い。クリアの型ガラスをバックにしてやや薄めの赤やオレンジ、アンバーといった暖色系の色で上手くまとめられており、安定感がある。
中央に配置されたレンズ型のガラスも面白いし、鳳凰の羽根にはイリデッセントが使われている。鳳凰のしっぽの先にある白と赤のガラスが、異様に透け感がないが、まあ他所とのコントラストとしては機能しているので、悪くはないと思う。
ただ、大枠の構図や線、色、ガラス使いは良いが、細部のこだわりは、あまりないように思えた。背景のクリアのガラス割りも、水平垂直に適当に線を入れただけのように見えるし、線にもう一工夫は欲しいところだ。また、周りの縦に伸びる帯の部分は、やや濃いめの緑や青が使われている。線の意匠は面白いのだが、ガラスの色は中央の鳳凰とはちょっと調和していないと思う。バランスが悪い。
この、大阪市中央公会堂のステンドグラス、折角の大阪を代表するステンドグラスなのだが、全体の半分がカーテンで覆われていて、良く見えなくなっている。鳳凰の顔なんかも、間近で見上げれば見られるが、離れて全体を見ようとすると垂れ下がった布が邪魔をして見られなくなっている。
このカーテンも含めての意匠なのかもしれないが、普通にステンドグラス全体を見せたらよいと思う。中央の鳳凰のパネルの意匠なんかも左右の端まで続いているのだが、この状態では気付く人はほぼいないだろう。
このステンドグラスが、もしこの建物の顔であるのなら、その辺りはもう少し考慮されても良いのかな、と思った。
この日は天気が悪く、見る環境が良くなかったせいもあるかもしれないが、正直言って、あまり良いとは思わなかった。この辺りがステンドグラス鑑賞の難しところで、別の晴れた日、別の時間帯に見たら驚くほど良かったりもする。
あとは、布で隠れて全体が見えないし、何か、ステンドグラスが雑に扱われているような気がして残念だった。
私にとっては遠方なので、滅多なことでは見に行けないが、次に行くことがあれば、全部のステンドグラスを全部見られる日、ステンドグラスが綺麗に見れる時間帯に行きたいと思う。