今回、実際に家に入れるステンドグラスパネルを制作する。
まずはデザイン、ガラス選びまで。
構想・コンセプト - Concept
知人の家の欄間にステンドグラスを入れることにした。頼まれた訳ではないのだが、勝手に入れようと思う。
ランプや小物など、それだけで完結している種類のステンドグラスならいざ知らず、パネルとなると、ただ単に作成しても入れる場所がないので、ちょっと寂しい。光を受ける場所に入らないと、ステンドグラスがステンドグラスたり得ないと言うか・・・。
もうこれからは、頼まれたり仕事で引き受けてステンドを作るだけではなく、自分から、「ここにステンドを入れます!」的な動きをしても良いかと思っている。
と言う訳で、今回は名古屋にあるMさんの家のトイレ上の欄間にステンドを入れることにする。大きさは以前計測済みなので、あとはデザインして制作するだけだ。
サイズはW:589mm、H:356mm。手頃といえば手頃なサイズ。
頼まれた訳ではないので、デザインも自由、予算も何もないから本当の意味で自由にデザインできるのがいい。
デザイン - Design
イラストレーターを使ってデザインする。
全くの自由とは言え、ある程度のコンセプト・テーマを決め、とっかかりをつくらなければ、進めづらい。とりあえず、以下のような方向性で進めようと思う。
・亜シンメトリー。
・ピース数多め。
・メリハリをつける。
・その家のその場所に馴染むようなデザイン・ガラス使い。
以前ボツになったキツネの横顔を使ってみようかと思う。
背景を作成する。まずは円を縦横に並べる。
それを45度回転させたものを、適度に倍率を調整し、背景にする。ここでのポイントは、接する円と円の間に、ケイムが一本しかないところ。つまり、2つの接する円の、片方の円の一部が、完全にもう片方の円の一部を兼ねているのだ。
この意匠は、ステンドでは見たことがない。普通はそれぞれの円をケイムで囲い、それを繋げていくからだ。技術的にかなり大変なのは容易に想像がつくが、その辺りは二の次三の次だ。とにかくデザインを最優先させたい。
この上に、キツネの横顔を左右対称に配置。
キツネのサイズや位置を調整。耳だけを左右非対称にする。背景との境を整えて、とりあえず線描きは完成。ピース数は、221。
キツネの横顔を亜シンメトリにし、それとバックの細かな柄との対比でメリハリを出した。バックの柄を細かくすれば、不自然なガラスの割りをする必要がなくなる。
若干、線がクドいので、そこはガラスを抑え気味にしてカバーしたい。
机上ガラスシミュレーション -Desktop glass simulation
アンバー系のガラスをメインで使用する。
背景(円と円の間の隙間)は、円を際立たせるために、白っぽい色にする。それ以外はすべてアンバー系の色味だけを使ことにする。大まかなイメージは上のような感じだが、ガラスを実際に切って並べてみた後に、細部を調整したい。
ケイムは、外枠の左右がFH12ハード、外枠の上下がFH6ハード、中はすべてFH6ソフトを使用する。
ガラス選び - glass selection
SAINT-GOBAIN モニュメント。サンゴバンの型板。
KO18LWAV ココモの石目。
メーカー不明。おそらく、ヤカゲニーかウロボロス。ブルズアイかもしれない。
WH49 ウィズマークのハンマード。
WH35 同じくウィズマークのハンマード。
Youghiogheny 5002SP ヤカゲニーのスティップル・アンバー。
Youghiogheny 5002LTSP ヤカゲニーのスティップル・ライトアンバー。
SAINT-GOBAIN Crackled キツネに使用予定。アンティークのとても綺麗なガラス。
Youghiogheny 1000SP ヤカゲニーのスティップル。隙間の白に使用。
実際に建物に入れるステンドとなると、やはりテンションが上がって進めやすい。組むのが大変なデザインではあるが、流石に立体よりは簡単だと思うので、来月中には完成させたいと思う。
次回は、型紙作成、ガラスカット、ガラスシミュレーションの順に進めていく。