東京メトロ副都心線のステンドグラス

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東京メトロ副都心線

東京メトロ副都心線は、池袋・新宿・渋谷の三大副都心を縦断する東京の地下鉄。2008年に全線が開通して以来、年々利用者が増加している。ラインカラーは「ブラウン」。


その、渋谷~池袋間の8駅には、「活力(ENERGY)」をテーマにした14点のパブリックアートが設置されている。その内、4つがステンドグラスなので、今回はそれをご紹介する。


全て、有名な絵描きの方の原画を、大手のステンドグラス工房がステンドグラス化しているもので、巨大なものだ。


東京メトロ副都心線 - Wikipedia





渋谷駅 『海からのかおり』 原画:大津英敏

渋谷駅の地下は広くて複雑に入り組んでいる訳だが、東京メトロの9番出入り口から地下2Fに降りた辺りに、このステンドがある。一応、改札外の通路に面して設置されているのだが、正面からきちんと見ようとすると、駅の中に入る必要がある。


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と言う訳で、斜めからのショット。



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写実的に描かれた絵付け。これはトップクラス。そして、バックの抽象化された景色との対比がまた面白い。



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ちなみにこれは、ステンドグラス職人でなく、画家である原作者が直接描いている。珍しい。



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ケイムの接点を差し込んで、点ハンダ。そしてケイムの両端を締めている。パティーナ処理はなし。ドイツ系の工房の仕事。



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基本はランバーツだが、それ以外にもココモやスペクトラムのガラスが使われている。



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写真では分かり辛いが、このパネルは裏からの光が均等に当たっていない。バックライトが、主役であろう女性の顔や富士山にさえ当たっていないのだ。たまたま消えていただけ、という可能性もあるが、別の機会に見ても同様だったため、敢えて光の強弱を付けることにより、メリハリをつけているのだろうと私は解釈した。


透過光ではなく、反射光で見るという種類のステンドグラスも存在するため、このような見せ方もありだろう。ただ、それをこの場所でやってしまうところに、前衛的、実験的な何かを感じる。






明治神宮前駅 『いつかは会える』 原画:野見山暁治

いわゆる原宿にあるこの駅。改札を入ってすぐのところにこのステンドグラスがある。


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この巨大さ。中々の迫力。



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非常に抽象的。



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このペンキの殴り書きのようなのは、グリザイユで絵付けをしているのだろうか。



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組みやハンダの様子が良く分かる一枚。



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原画作家曰く、真正面から見るのではなく、通行人の目線で見られるのを想定しているとのこと。でもやっぱり正面から見てしまう...。ステンドグラスの手前に入っている太い金属の枠組みや透明ガラスの反射がなければ、斜めから見てもより色々と感じられそうだが...。


見た人の全員が全員、何かを感じるとは限らないが・・殆どの人は何も感じないだろうけど...、200人に一人くらいは何かを感じてるのだろう。私はそちら側の人間ではないが...。



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基本的にガラスがとても綺麗。ほぼアンティークが使われているが、判別ができないような特殊!?なガラスも見られる。サンドブラストは分かるか、それ以外にも何か特殊な加工がされているのかもしれない。



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如何にもなステンドではない点、挑戦しているところは、高く評価できる。


ただ、纏まりがなく無秩序過ぎるように思え、私にはまだ難しすぎる。目のやり場に困ってしまう。





新宿三丁目駅 Hop, Step, Hop, Step』 原画:山本容子

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新宿伊勢丹の直ぐ下の駅の改札内。そこそこの大きさ。通路沿いにあるので、正面から全体像が映らない。



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ウサギの表情が面白い。全く可愛くはないのだが、おもねらない、ロックな感じが好きだ。


可愛くないけど、深い。笑っているウサギは一匹もいない。皆真剣な表情



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ウサギの顔もそうだが、結構沢山の絵付けが入れられている。



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こんなの好き。



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通勤や通学で毎日ここを通る人も多いと思うが、何回見ても新たな発見がありそうだ。もしかしたら、ウサギと自身を重ね合わせて、色々と感情移入できる人もいるかもしれない。





西早稲田駅 『地下鐵道乃圖』 原画:山口晃

早稲田大学の理工学部に直結する方(渋谷寄り)の、改札の外にあるステンドグラス。


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これもなかなかの大物。こうして見ると、画としての構図も良い。



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画家としてかなり有名な山口晃。その世界をステンドグラスで表現した意欲作だ。



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細かい箇所まで凝った作りで、ずっと見ていられる。



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縦横に入っているのは、真鍮の補強線。



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絵付けの発色がとても良い。



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丁寧な全面ハンダが施されている。



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日本画風のタッチで人や建物を細かく沢山描くという画風の、山口晃さんの原画を元にした作品。裏側に白いアクリル板か何かが当てられているようで、ガラス本来の「らしさ」よりも、絵付けに重点を置いた作品だ。


線を重視した原画を無理にステンドグラスでケイムの線に置き換えてしまうと、本来の良さが消えてしまう、という意見もあるかもしれないが、そこを敢えてやっているところにロックを感じる。手書きの部分は全て、ステンドグラス絵付け用の特殊な絵の具で描き、それを窯で焼いて定着させているのだ。


そして、老舗のステンドグラス工房である松本ステンドグラスさん制作で、ステンドグラス自体の作りがとても良い。






どれも大きな作品で、それぞれに相当な金額(1千万以上?!)が掛かっているのだろう。手の込んだステンドばかりで、見るべきところは沢山ある。ただ、自然光ではなくライトボックスということもあり、本来のステンドグラスとしての良さは出ていないな、というのが正直な感想。


あとは、どれも、原画の作者が描いた絵をステンドグラスで表現する、というアプローチだが、一つくらいは、ステンドグラス作家のような、ガラスの専門家の作品があっても良かったかな~と思う。


と、若干ネガティブなことを言ってしまったが、実際にどうなのかは実物を見て各自が判断すれば良いこと。一日乗車券(600円)を買って、実際に見に行ってみましょう。感想を聞かせて下さい。




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