フランクW.トーマス邸
フランク・トーマス邸(Frank W. Thomas House)は、イリノイ州のオークパークにある、フランク・ロイド・ライトが設計した個人の邸宅。1901年に建てられた。最初はもちろん個人邸として使われていたのだろうが、現在どのような使われ方がされているかは不明。
Wikipediaの記述によると、ライト自身は、この邸宅をプレイリースタイルの最初の建築物と定義していたのだそう。
ライトの作品としてはマイナーであるため、詳細の写真が少なく、建物の内部から撮られたステンドグラスのデザイン画良く分かる画像は皆無である。建物2階の道に面した窓のステンドがどんなデザインか、どうしても知りたかったが、分かる画像が一切手に入らなかった。
Googleマップのストリートビューを見てもごくごく普通の家で、まるで注目されている様子はない。
かなりの数のステンドグラスが入ってるようで、家の内部の建具にも、天井にも入っている。いつか、全てのパネルの意匠をきちんと見たいなと望んでいる(無理だと思うが...)。
Frank Thomas House - Wikipedia(英語)
これは、数時間ネットを徘徊してやっと手に入れた、比較的高画質の画像。ケイムはジンク(zinc:亜鉛)のように見える。
ストリートビュー。まるで普通の家...。
外からの撮影のみだが、ステンドの線がそこそこ分かる映像。
デザイン
写真や動画で窺い知れるステンドは、ほぼ建物の外に面したものだけ。だが、建物の中にも、天井にも、何十枚も同じ様なパネルがあり、それぞれで微妙にデザインが違っているようである。
今回もIllustratorを使ってトレース&アレンジしていく。
先ずは、典型的なもの。左右にデザインを寄せて、真ん中を大きく空けている借景スタイル。
<ステンドデザインの特徴>
●細長い三角形を3つ、主役として配置している。そしてその周辺にかなりキツイ鋭角のラインが入っている。否が応でもそこに視線がいく。
●縦方向に矩形をリズム良く配置している。そして全体の粗密・バランス感が良い。
●写真では分かり辛いが、金箔が貼られたようなガラスが使われている。上ので言うとアンバーの箇所。実際には違うかもしれないが、写真ではそう見える。
<ステンドデザインの特筆すべき点(ライトでなければできないこと)>
●縦方向に入った、鋭い斜めのライン。ここまで細いと、ガラスが割れる可能性が高い(上の写真でも当然のように割れている)。既成の概念や職人の意見に左右されない、デザインファーストの姿勢。
●中央上部に入っている、黒っぽいガラス。
●中央の上寄りにある、斜め45度の線。このアクセントがあるかないかで、相当な違いが出る。
●白い正方形のガラスが縦方向に並んだ箇所で、一番上の白、四角の真ん中に横のラインが通っている。見事にアクセントとして機能している。
●中央下部の、白い変形四角形とその周辺の意匠。
縦長のパネル。何となく2枚セットで。
外側の縦に等間隔で並んだ白いガラスの面積を、アンバーと同じにしている。そのため、主張はやや弱めかもしれない。上の絵はバックが白なので白ガラスが目立たないから弱めに見える、というのもあるが。
実際に作ってみたいサイズ感のパネル。外側の白ガラスの並びの線を、他の部分の倍にしている。
上のをさらに小さく。これでも軽く100ピース以上はあるけれど。
このパネルはライトの特徴がギッシリ詰まっている。
久々に作ってみたくなったので、次回がもしあれば、設計・ガラスカット等へと進んでいきたい。