アール・ヌーボーの傑作として知られている、ルイス・C・ティファニーのランプやステンドグラスを集めた美術館。静岡県伊東市に、2017年12月オープン。
2019年現在、日本で本格的にティファニーの作品を鑑賞できるのは、ここだけではないだろうか。
伊豆半島の城ケ崎エリアにあるこのミュージアムは、約120年前に作られたティファニーのランプやパネルが集められた美術館で、70点ほどが展示されている。作品のほぼ全てに「THIFFANY STUDIOS NEW YORK」の刻印やサインが入っていることからも分かるように、全てが本物である。
ティファニー・ランプとは、正確にはガラス工芸家のルイス・C・ティファニー主催のティファニースタジオが製作したステンドグラスのランプを指す。だが今日、ステンドグラスのランプシェード=ティファニーランプと呼ばれることさえもある。それだけ市民権を得ているのだ。
ステンドグラスの制作は、仕事というよりも趣味として嗜む人が圧倒的に多い。そして、そこで作られるものの多くはランプシェードである。
建物に入れる平面パネルはケイムを使ってガラスを繋ぐが、立体のランプシェードではガラスの縁に銅のテープを張り、それをハンダで繋ぎ合わせて成型を行う。また、電球が見えないように、専ら乳白色の入って濁ったガラスを使う。その技法と乳白ガラスを発明したのが、ルイス・C・ティファニーなのである。つまり、祖なのだ。
ここでは、そんな彼のオリジナル作品を心ゆくまで堪能できる。建物はフラワーミュージアムの中にあり、入園料は大人1200円。
Daffodil&Jonquil ラッパ水仙と黄水仙
Nasturtium ナスタチウム
ベースの蜻蛉はガラスモザイクになっている。
Red Oriental Poppy 赤いオリエンタルポピー
Elizabethan エリザベス朝
Poppy 芥子
Poppy 芥子
Orange Oriental Poppy オレンジ色のオリエンタルポピー
Nasturtium ナスタチウム
Geometric pattern 幾何学模様
ティファニースタジオでは、幾何学的なデザインは男性の職人が、花や虫などのデザインは女性の職人が主に手掛けていた。
Peony 芍薬
ガラス表面にうねりのあるドレープグラスが使われている。
Laburnum キングサリ
日本では、「黄花フジ」と呼ばれる。
Green Dragonfly 緑の蜻蛉
Fruit 果物
Red Tulip 赤いチューリップ
Peacock 孔雀
Yellow Tulip 黄色いチューリップ
Zodiac 黄道十二宮
Magnolia 木蓮
ここにもドレープグラスが使われている。
Pond Lily 睡蓮
睡蓮の「葉」のみが描かれている。
Red Dragonfly 赤い蜻蛉
上から下へのグラデーションが美しい。
Dragonflyはティファニーランプの中でも特に有名だが、デザインはティファニー自身ではなく、クララ・ドリスコルという女性の手によるものである。
Red Turtleback belt 赤いタートルバックベルト
Lotus Bell 蓮の鈴
Pond Lily 睡蓮
Flowering Lotus(花盛りのロータス)などとも呼ばれている。1906年当時の販売価格は400$。
Nasturtium ナスタチウム
Poinsettia 猩々木(ポインセチア)
Apple Blossom リンゴの花
Laburnum キングサリ
Red Lotus 赤い蓮
非常に凝った意匠で、特に希少価値の高いモデル。1997年にクリスティーズで落札された際の価格は、日本円にして約3億4千万円。ちなみに、制作当時のカタログ価格は750ドルであった。
Cobweb 蜘蛛の巣
ベースには複雑なガラスモザイクが施されている。
Snowball セイヨウテマリカンボク
Arrow Head クワイ/オモダカ
Peony Border 芍薬の縁取り
Butterfly 蝶
ベースのガラスモザイクには、黄色いプリムラの花が描かれている。
Grape 葡萄
Wisteria 藤
ティファニーでも特に人気で有名なモデル。
Brown Dragonfly 茶色い蜻蛉
Wisteria 藤
Peony Border 芍薬の縁取り
Fruit 果物
Rose 薔薇
Orange Oriental Poppy オレンジ色のオリエンタルポピー
Grape 葡萄
Turtleback Dome 亀甲ガラスのドーム
Mermaid & Nautilus 人魚とオウムガイ
Daffodil 水仙
Poinsettia (ポインセチア)
Turtleback green 緑の亀甲
入り口付近にあったパネル。
光が透過していないから、細部が良く分かる。
Oyster Bay オイスター・ベイの風景 - 朝日
Oyster Bay オイスター・ベイの風景
Landscape Window 風景の窓
Christ Knocking at the Door 戸を叩くキリスト
Angel - In memory of caroline scott 1815-1907 天使 - キャロライン・スコットをしのんで
Landscape with Waterfall 滝つぼの風景
Orange flower & Lily オレンジ色の花と百合
Lotus and iris ハスとアイリス
Wisteria & Snowball 藤とスノーボール
18Light Lily 18灯の百合
シェードに使われているガラスは「ファブリルグラス」と呼ばれる、玉虫色の特別なガラス。ティファニーが開発・命名した。
ランプが作られた当時は、大きなスタジオを構えて沢山の人を雇い、量産とは言わないまでも、かなりの数が作られたティファニーランプ。それが今、こんなにも価値があるのは、100年以上も前に作られたものであり、割れずに形を留めているモノが少ないからだろう。
・・・ずっとそう思っていたが、その考えは実物を見て少し変わった。単純に、世界で一番美しいステンドグラスのランプシェードだからなのだ。
精巧さという意味での作りは何てことない。コパーテープの幅もまちまちだし、幾何学模様もずれているし・・・そこじゃない。
圧倒的なガラスの綺麗さ、奥深さ、変化、鮮やかさ、輝き、明暗差。単一な色ではなく、別の色がほぼ入っている。
そして、細かい。兎に角細かい。狂おしいほどに細かい・・・。
日本で本物のティファニーランプを見られる場所は限られている。以前はルイス・C.ティファニー庭園美術館という、その名の通りティファニー専門の美術館が島根県の松江市にあったのだが、2007年に閉館。
少し前までは、同じ伊豆に「伊豆ガラスと工芸美術館」という施設があり、そこにも幾つかあったようだが、2018年の5月に閉館。
パネルであれば、那須ステンドグラス美術館や小樽芸術村にもあるようだが、ランプをまとまった数見られる施設を、私は知らない。
隣接するフラワーガーデンや、すぐ近くの断崖絶壁に掛かる海のつり橋(門脇つり橋)も併せて訪れれば、十分に1日を潰せる。
東京から日帰りも可能な距離なので、是非、訪れてみて欲しい。
娘家族一緒に3月30日、見学させて頂きました。
ランプのあまりの美しさに,魅了され、感動で、涙が出てきてしまいました。また、ぜひ近いうちに
ゆっくりと、訪れてみたいと、思っています。ありがとうございました。また、歴史を知ることができびっくりでした。お花も庭師のかたが丁寧に教えてくださりありがとうございました。77さいなので、早くいかないとね。 埼玉県上尾市より