間仕切り3連ステンドグラス【フランク・ロイド・ライト調】03 - 組み~完成

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前回の続き。ガラスカットまで終わっているので、組み~完成・取り付けまでを。


組み・ハンダ

デザインとガラスが決まったので、職人的な制作の作業工程に入る。今回のような幾何学的なデザインは、ラインの直線性、左右対称性をきちんと出すことが重要になってくる。要は、Illustratorで描いた全くその通りに制作する、ということだ。


鉛という柔らかい素材を手作りで仕上げていくので、100%にはならないが、そこにどれだけ近付けられるかが重要だ。


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下紙をA3で印刷し、テープで張ってつなげる。それを板の上に張り付け、その上で組んでいく。


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左のパネル。


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中央のパネル。


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右のパネル。


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組み終えたところ。



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続いてはハンダ付け。上のは全面ハンダまで終えた後だが、組み終わりからここまでで、組む以上に時間が掛かってしまっている。サイズが大きいパネルは誤差が出やすいので、微調整に時間が掛かる。


紙を敷いてその上で組んでも、紙自体が正確ではない、というのもある。定規でケイム間の間隔や垂直・水平を測りながら、丁寧に合わせていく。


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全てをハンダし終わった。神経を使う作業はこれにて完了。


パテ入れ・仕上げ

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今回使用したパテは、自分で新しく作ったパテ。関西パテ化工の白パテに松煙を入れて黒くしたもの。そのまま使用すると乾きが遅すぎるので、新聞に包んで少しだけ油抜きをしている。


パテを入れ終えてから、やや多めの2週間ほど放置したが、そんなに乾きは良くなかった...。もう少し油を多く抜くべきだったのかもしれない。



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パテが乾いたら、ケイムを真鍮ブラシで磨き、ガラスをある程度綺麗にした後、硫酸銅でケイムの腐食を行う。


今回も硫酸銅の5%水溶液を使用。かなり均一な感じに染まり、綺麗な七色の光彩が出た。今回は腐食後に馬毛ブラシで磨いているので、より艶が出ている。


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この光彩は、寝かせているからわかるが、設置するとほぼ分からないと言う意味で、今だけのもの...。


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あとは、光にかざしてひたすらクリーニングするのみ。あ、写っているのは私じゃないです。


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透明で平坦なガラス、今回の場合はニューアンティーク、の汚れを落とすのが至難の業。光の当たり具合や見る角度で、表面の見え方がまるで違う。何度でも汚れが浮かび上がってくるかのよう。


しかも、どんなことをしても取れない汚れもある。分かり易く言うと、風呂場にある鏡のウロコの様な汚れ。


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直射日光を受けて輝くパネル。実際には室内の直射日光が当たり辛い場所に設置されるので、実は貴重なショットなのかもしれない。

取付・完成

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今回は取り付けまでさせて頂くので、押縁の用意をする。


使用した木材は、桧(ヒノキ)の9mm×15mm角のもの。元々は10mm×15mmを使用する予定だったが、開口が想定よりも小さかったので、ステンドを外側の12mmのケイムを切ることで小さくし、押縁も厚さをやや小さめにする。押縁は、元々1820mmの長さなのをカットして使用する。


押縁の素材は、木の専門家ではないので断言はできないが、硬さや入手のしやすさからして、 ヒノキか米栂(ベイツガ)、スプルース辺りの無垢材が好ましいように思う。


その中でもヒノキは、法隆寺をはじめとした神社仏閣に用いられる、日本固有の高級材料。あの特有の香りと、伐採してから200年は強度が増していき、その後1000年かけて伐採時の強度に戻るという耐久性・保存性は、世界最高レベルと言われている。


そのヒノキに、壁紙に合わせた塗料を塗る。今回使用したのは、竹炭塗料という、竹の灰から作られた特殊なもの。これを水でほんの少しだけ薄め、押縁の3面に刷毛で2度塗りして仕上げている。


ちなみに、押縁が開口に接する面までペンキを塗ってしまうと、押縁を後から外す際にペンキが壁紙に付いてしまい外れなくなることがあるので、塗らない方が良い。


この押縁を、開口にビスで止めていく。使用するビスは、ミニビスという種類のもので、長さが25mmのもの。


押し縁が細いので、普通のよくあるビスやコーススレッドでは木がが割れてしまうため、このような細いビスを使用する。


更に、このビスを使ってもねじ込んだ最後の皿を入れるところで木が割れることがあるので、下穴を開けた上で皿をとっておく。


一番下のが皿取り錐。真ん中が1mmのドリル。上のは、テーパーの入った2mmのショート下穴ドリル。







さて、実際にステンドグラスを開口に取り付ける。以下に、手順やコツを簡単にメモしておく。


●ステンドを入れる前に、奥側の押縁を4面ともビスで固定する。押縁のサイズが開口に対して大きいと入らず、小さいと隙間が空くので、注意する。できれば、気持ち大きく作っておき、現場で削って微調整するのが望ましい。ビスは水平方向に対しては少し斜めに打つことになる。

●開口下にセッティングブロックを置き、その上にステンドグラスを乗せる。セッティングブロックの高さを調整し、上下の位置を決める。

●左右の位置を決める。

●位置が決まったらもう手前側の押縁をビスで固定する。

●ビスはインパクトを使ってとめるが、皿が埋まる寸前で止めておき、最後は手回しで締め終える。万が一の押縁の割れを防ぐため。

●ビスを締め終えたら、ビス頭を押縁と同じ色で塗装する。

●ステンドグラスがガタつかないか確認する。どうしてもガタついてしまうのであれば、シリコンで固定する(今回は使用せず)。

●ガラスを綺麗にして、完成。


セッティングブロックは、ステンドグラスの高さ調整と、エッジクリアランスを保って衝撃を吸収するという役割をもつ。今回使用したものは、硬質なゴム。


1mm厚、3mm厚、5mm厚を揃えておけば、それぞれを重ねたり組み合わせたりすることで、ミリ単位での高さ調整が可能になる。さらに細かな調整が必要な場合は、厚紙や養生テープを加えてかさ上げする、ということも可能だろう。


取り付けは、余程小さいパネルでない限りは、1人だけで作業するのは難しい。2人必要だ。1人だと時間が掛かるというのもあるが、ビスを打つ際にパネルを支えたり、左右の散りを反対側から確認するのは、1人では厳しいからだ。


今回も2人で作業を行った。



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完成


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押し縁がどのように付けられているかが良く分かる一枚。


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今回のステンドは、色数が多いので、カラフルで賑やかなテイストになった。


実物のライトのステンドと同じように、もっと渋めの色で揃えることもできたが、今回の空間にはこのステンドのテイストが映えたと思う。


個人的には、上下の粗密をはっきりと出ているところが、一番評価できるポイントだ。


新築のお家で、まだ施主様も住み始めて間もない。これから部屋が徐々に形作られていき、ステンドグラスがどう馴染んでいくのか、とても楽しみである。

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