ここ数カ月、もう少し広い作業場所を求めて、アトリエ探しと場所作りに注力していた。その過程などを簡単に記す。
場所探し
普通のマンションやアパートの一室ではなく、狭くてもきちんと「作業場所」として使える場所、居住スペースとは明確に切り離された空間が欲しかった。
普通の場所だと、どうしても騒音や、汚れ、ガラスの破片・粉、ハンダの煙などが問題になるからだ。
<エリア>
東京に住んでいる以上、出来れば都心部が良いが、当然家賃が上がるので、ほどほどに。 色々と探したが、ステンドグラスの制作をするような作業場所の物件は、台東区に多い気がした。だが、東側より西側が好みなので、新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、辺りを中心に、広さと家賃の兼ね合いで探す。
<手段>
今や、世の中の賃貸情報の、99%はネット上に載っている。従って、知識と時間と想像力があれば、家に居ながら探せてしまうのだ。ちなみに、残りの1%にはネットに上げずに誰かがキープしているような掘り出し物も含まれるが、不動産の素人には手が出し辛い。
探すサイトは、主に以下の3つ。これで99%は網羅されていると思う。
ただ、店舗や貸事務所、作業場は、普通の住居用物件とはまた違うので、探すのが難しい。
上の2つのような、物件数は少なくとも、風変わりな面白い物件のばかりを集めた、密度が高いサイトをチェックするのも良いだろう。自分も数カ月、ずっとこのサイトをチェックし続けていた。
そんな時、ひょんなことから、オンライン接客型の不動産屋があること知り、試しに利用してみた。自分がお世話になったのは、ラビットホームさんというところで、メールで希望の条件をお伝えして、代わりに探していただいて、何件も自分では探せなかったような物件をご提案頂いた。
そこで、一発目に出てきた物件がこれだった。
中野区若宮3丁目 - 西武新宿線都立家政駅徒歩5分
メールベースで20件くらいはご紹介頂いたが、この最初に出てきた物件の内見に行き、1週間ほど考えた結果...、何か思うところがあり、ココに決めてしまった。
現状(Before)
この物件は、勿論賃貸で、築45年、木造、2階建て3K。前に使っていた方は、ロッカールーム52という店舗名で、くつ修理・合かぎをやっていたことが、残された表の文字から分かる。この文字、どうやって消そうか...。左右は、沖縄料理屋さんと、ラーメン屋さん。
T字路になっていて、人通りがそこそこある。
連棟式の一軒家で、両サイドのお店とは建物自体が一体化しており、屋根裏も繋がっている。古い商店街などに良くある形式の建物だ。
中はこんな感じ。タバコのヤニが凄い。
基本的に、いろんな箇所がそのままになっている。捨てなきゃいけないモノが多い...。床はクッションフロアで、壁には壁紙が張ってある。緑の部分は木。
全て、前の方が遺していったもの(自転車以外)。
作業場(土間)から一段上がったところの場所。キッチンと風呂とトイレらしきものがある。これでもかなり綺麗にした後。兎に角汚い。一番問題なのは、トイレ...。
最初に内見に来た時、当たり前のように土足で部屋の中を案内された。というか、何なら靴が汚れて申し訳ないですといった感じだった...笑。
元の作りが良ければ「古民家風」になるのだろうが、残念ながらそうはなっていない。ひたすら汚い。
廃墟レベルの汚さ。これでも、ある程度綺麗にしたあと。
蜘蛛の巣やら散乱した物をどけて、ある程度綺麗にした後でコレ!
ざわ...ざわざわ......。
このトイレ、水漏れとカビは当然のこととして、そもそも面積が狭すぎー! 幅780mm、奥行780mmくらいしかない。しかも便器が左寄りになっていて...。床のタイルも割れていて、床下が見えそうな勢い!
わかる人ならわかると思うが、今のところ、このトイレは普通に座って用を足せない。柱が邪魔で右足が収まらない 笑。そして、扉を閉めて用を足すことは不可能。
2階の部屋へと続く、急すぎる階段。この木の風合いは嫌いじゃないけれど、もう少し清潔感を出さないとマズい。
汚れているけれど、綺麗にすれば雰囲気が出るかもしれない。
2階は、1階と比べれば、まあそこそこキレイ。ほこりとフローリングの汚れさえ何とかすれば、普通の部屋っぽくなるかもしれない。
この昭和っぽい雰囲気、嫌いじゃない。
収納たっぷりなのも◎。
建物は汚いし修繕必須な箇所もあるが、ステンドグラス自体が古めかしいものなので、この建物と合う部分もあるだろう。写真では分からないが、至る所にシロアリの食った形跡がある。ただ、もう食べ尽くした後のような感じだ。1階のアトリエとトイレをリフォームして、作業台さえ用意すれば、作業は始められそうな感触を得た。
引越し前の家が新築だったので、落差が激しいが、慣れればなんとかやっていけるだろう(と思うしかない...)。
アトリエ修繕
とりあえず、作業場を綺麗にする。先ずは床のフロアマット剥がし。
汚かったり変色が酷いから、というのもあるが、塩ビの安っぽい感じが嫌なので、全部剥がしてみる。
剥がした跡、糊が汚くこびりついていて除去が難しいので、その上から床用ペンキで塗りつぶすことにした。本当はモルタルのテイストが好きなのだが、色々あってちょっと無理そうなので、ペンキで妥協した。
プルーフロンアクアという、水性だが乾くと防水性になる塗料を使用。日本特殊塗料という会社のもの。プライマーとトップコートの二層仕上げで、先ずはプライマーを半分に塗ったところ。
壁と外壁は、全て白で塗る。緑色だった部分もヤニ汚れの部分も全部真っ白に。使用した塗料は、エコフラット70艶消しという水性塗料。トータルで3回以上は重ね塗りした。
ご依頼したこの方と共に、私も沢山塗った。
※この写真は私じゃないです、念のため...。
アトリエ前のテントの文字は、シールだったなので頑張って剥がした・・・。でも跡がくっきり! 笑 雨の日にでもタワシで擦って跡をできるだけなくしたいところだ...。
もうこんな感じで兎に角真っ白に。
床の前面にトップコートを塗り終えたところ。
シールも全部剥がし終えた。
床と壁は、こんな感じの仕上がりに。あと、作業場とキッチンの間の引き戸も真っ白に。
今回はここまで。
次回、【後編】は、トイレの修繕~作業台設置~完成までを!