ケイムで立体を組む-小形ランプシェード【後編】

image

【前編】に続いてケイム組みの立体です。


今回は、組み~完成まで。


前回からかなり時間が経ってしまいましたが、なんとか。。



組み - Assembly

机に直接釘を打つので、ベニアを買ってきてその上で組むことにしました。


image

組む前にガラスの形を整えます。今回はルーターがないので、石のやすりとガリで整形。


image

ちなみに、この方法は異常に時間が掛かるので全くオススメできません。素直にルーターを買いましょう。。


image

ガラスの形が整ったら、早速組んでいきます。先ずは下から2段目だけを平組みします。


image

このような感じで、一本のケイムに、ガラスとガラスと同じ長さのケイムを差し込んでいきます。


image

12枚揃ったら、反対側にも長いケイムを差し込みます。


image

ケイムの接点をハンダ付けします。


image

この段階では、まだ仮止めのハンダで大丈夫です。


image

全てのハンダ付けが終わったら、ケイムを曲げて丸くしていきます。


image


image

両サイドは、平組の段階でこのようにケイムを余らせておき、この段階で余分なケイムを切り落として合体させます。


image

下から2段目が組めました。この段階で、しっかりと形を円形に整えます。


上のように、実寸に拡大した12角形の形に合わせてみると良いでしょう。


image

次に、一番下の段を組みます。ケイムとガラスを交互に差し込んでいき、その都度ケイムをハンダで仮止めします。ケイムとガラスの間に隙間ができないよう、しっかりと形を意識して組んでいきます。


image

平組の際もですが、今回はケイムをケイムに差し込むので、このように差し込む側のケイムの端を少し潰します。差し込まれる方のケイムは、逆に広げておきます。


また、垂直線に対するケイムの傾きに応じてケイムの端の断面を斜めにしておくと、差し込みやすく、きっちり奥まで差し込めます。


image

縦のラインが組めました。


image

次に、ランプの一番下になる部分にケイムをグルっと差し込んでいきます。


image

差し込んだら、ハンダで仮止めし、逆さまにします。


image

次は3段目を組んでいきます。縦に一番上まで通したケイムと3段目のガラスを、交互にハンダで仮止めしながら差し込んでいきます。


image

3段目のガラスを入れ終わった段階です。


形の歪みを気にしながら、慎重に進めていきます。


image


image

続いて2段目です。ここは、横のケイムを通しながら組んでいきます。


image

2段目が組めました。ケイムの接点を仮止めするためにケイムを潰し、ハンダ付けします。どの段目を組む際も、ハンダ付けの前にはしっかりと形を整えます。


image

次は1段名です。2段目もそうですが、横に入れるケイムは、ガラスと同じ長さに切り、端を潰します。その際、ケイムはガラスに合わせて台形にします。


image


image


image

1段目が全て組めました。


image

同様に、ケイムの接点を平らに慣らして、


image

ハンダ付けします。


image

この段階で、一番上の余った縦のケイムは、ガラスの面に合わせて切っておきます。


image


image

一番上の部分に、ハンダで仮止めしながらケイムをしっかり開いて差し込みます。


image


image

全ての接点をハンダで仮止めできました。


image


image

一番上に付けるパーツです。


image

今回はたまたまサイズがぴったりでした。


image

ハンダ付けする前に、前面にハンダを流しておきます。


image

この状態で、パーツとケイムをしっかりハンダ付けします。


image

ここまでこれば、完成イメージがはっきりとします。



全面ハンダ - The entire surface of the solder

image

今回は、全面にハンダを流します。ハンダ付けの前に、表側のすべてのケイムの端をヘラなどで潰してガラスに密着させておき、ケイムを真鍮のブラシでしっかり磨いてハンダの乗りが良くなるようにしておきます。その状態でハンダを流します。


ハンダを綺麗に流すには、ケイムの表面の錆や汚れを除去しておく必要があります。表面の状態がとても大事です。


image

良く溶けたハンダは斜面を流れます。傾斜が強すぎるとハンダが流れ落ちてしまうので、工夫して綺麗にハンダを流します。


image

表面のすべてにハンダを流し終えました。


image

裏面も同様に全面ハンダを施します。


image


image


image

裏面の全面ハンダが完了しました。



仕上げ - Finish

image

ハンダを終えたら、真鍮ブラシで表面・裏面を良く磨き、表面の状態を整えます。


image

そして、水と中性洗剤でフラックスなどの油汚れをしっかりと取り除きます。


image

今回は試作ということもあり、ケイムを黒く腐食させる処理は行いません。


image

その代わりに、馬毛のブラシでしっかり磨き上げて、出来るだけ黒くしておきます。


image

そして、最後にこのようなパーツを組み込んで完成です。


image



完成 - Completion

image

宙に釣ると結構小さく見えます。


image

光をともせば、あまりケイムの色は関係ないですね。腐食させなくとも黒く見えます。


image


image



振り返り・反省点 - Reflection

いろんな工具や部材がなかったため、異様に時間が掛かってしまいました。特にケイムが途中で足りなくなったのが痛かったですね。同じケイムを手に入れるまでに時間が掛かりました。


出来上がったものを良く見ると、形が少し歪んでおり、違和感があります。すべての工程を抜かりなく丁寧に進めることが、当たり前ですが大事です。そしてそれ以前に、歪みを正確に見抜く目がとても大事です。絵を描くのと粘土か何かで立体をつくるのは、難易度がまるで違います。それと同様に、ステンドもパネルと立体では、当然立体の方が難しい訳です。


歪みを抑えるために、土台となる平で組んだ2段目は、円形にした後すぐ両面に全面ハンダをして形を固定した方が良かったですね。


今後は、もっとピース数を増やして、デザインも凝ったものにしたいです。勿論ガラスも工夫して。その際、一番下の形をどうするかがカギな気がします。今回のは、一番下がスパっと味気なくなっていて、ちょっと寂しいんですよね



総じて、試作品としてはまずまずの出来かと思います。


今回の反省を大いに踏まえて、次回は作品と呼べるレベルのものに仕上げられればと思います。


乞うご期待!




 Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


関連する記事 - Related Post

ケイムで立体を組む-小形ランプシェード【前編】

前々からずっと作りたいと思っていた、ケイム組みの立体です。 難易度が高そうなので、初めての今回は小形のランプシェードを試しに作ってみます。。 先ずは【前編】。構想・デザイン~ガラス・カットまでです。 構想・事前準備 - Concept 一般...

【 ルーター】SUPER STAR IIレビュー 

ルーター(ガラスを削る電動機械)を新しく買いました。そのレビューです。 一番の感想は、「結構音デカいな!」です。 ルーターとは? ステンドグラス用の、ガラスを削る機械です。ルーター(Router)と言えば、一般的にはネットワーク機器を連想し...

【ステンドグラス制作】M様邸欄間① - 構想・デザイン

今回、実際に家に入れるステンドグラスパネルを制作する。 まずはデザイン、ガラス選びまで。 構想・コンセプト - Concept 知人の家の欄間にステンドグラスを入れることにした。頼まれた訳ではないのだが、勝手に入れようと思う。 ランプや小物...

フランク・ロイド・ライトのステンドグラスについての考察

建築家フランク・ロイド・ライト 本題であるステンドグラスの考察の前に、先ずは彼の建築家としての位置付けとその生涯を、簡単に記す。 フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright、1867年6月8日 - 1959年4月9日)は...
Top